桜色の涙
「私、は。これで良かったと思っているよ」
「ちゃんと目を見て答えてよ……っ」
気づいたときには唇が重なっていた。そのまま深く口づけをする。
そして唇を離すと、また同じタイミングで息を吸う。
「また傷つけるかもしれない。辛い思いするかもしれないんだよ?」
私は迅が傷つく姿を見るのが1番辛いの。だからそばにはいられないよ。
「そんなの慣れっこだよ。それでも一緒にいたいと思える人ができたから」
傷ついても辛くても、それでも一緒にいたいのが私だっていうの?
ねぇ、どうして?どうしてそんなに……。
「好きにさせるまで離さないよ」
そう言ってぎゅっと抱きしめる迅の腕は震えていた。
そうだよね。振られた相手に気持ちを伝えるって本当に勇気がいることなんだ。怖くない人なんていないよね。