桜色の涙
私は迅が好きだよ。
好きだから。君の幸せを望むから。この手から君を離すよ。私はもうひとりで大丈夫だから。
『無理して忘れて笑うより、思い出にしてしまった方が楽じゃん』
付き合うときに迅がくれた言葉。
そうだね。悠大と別れたときは迅がいたから立ち直れたんだ。
悠大のことは思い出にできたよ。いつの間にか忘れて、頭の中は迅のことばかりだったよ。
ずっと前から君のことが。
「……好きだったよ」
涙が溢れるくらい。離れたくないと思うくらい。君のために捧げようと思うくらい、大好きなんだよ。
でもこの気持ちは伝えちゃダメなんだ。たった二文字 “ 好き ” の気持ちは。
好きだった。大好きだった。君の隣にいたかった。
でもね、もう遅いんだ。
この気持ちに気づいたのが始まりなら、それはきっと終わりへのカウントダウンの始まり。