桜色の涙

「そ、園田くんはさぁ、橋本さんの猛烈なアピールに負けたんでしょ?」


「……うるさい」


話を逸らそうとする矢代さんだけど、クールな渚はそう簡単には流されない。いつも照れてなかなか話してくれない。


でも上手くいっていることは知っているよ。渚が橋本さんの話をするときは本当に優しそうな顔をしているから。


きっとお互いが見えないところで想い合っているんだろうな。



「広瀬くんはすごいねー。振られた相手にそこまでするなんて」


「う、うん。矢代さんには言われたくないけどね」


俺だって猛アピールしているけど、矢代さんの方が江崎くんにどんどんアタックしている。




ある日、どうしても星那に会いたかった俺は星那の家で待ち伏せすることにした。案の定、家の前にいた俺に気づいた星那は驚いていた。


でも『入っていいよ』と言われたので少し遠慮しながらもついていくことにした。


そのときの星那はやっぱり何かと闘っていたんだろう。迷いと寂しさが手に取るようにわかった。


ねぇ、星那。もっと俺を頼っていいんだよ。ひとりで強がったりしないでよ。
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