桜色の涙
「……ん、迅!」
「え?」
このやりとりは何回目だろう。昨日の告白のことばかり考えていた俺はまたボーッとしていたらしい。
今日は渚に声をかけられてやっと我に返った。……俺、このままじゃ今日は彼女と話せないかもしれない。
「おい、大丈夫か?」
「う、うん。なんでもないよ」
そう言って何もないように装ったけど、きっと渚には見透かされているんだろう。
何があったのかまではわからないと思うけど、渚は鋭いから俺の考えていることなんてお見通しなんだ。
「……話したくないならいいけど」
ボソリとそう言った渚はやっぱり俺の隠しごとに気づいている。
ごめん、今はまだ自分でも頭の中で整理ができていないんだ。
でも考えがまとまったら1番最初に渚に伝えるから。そんな気持ちを込めて俺はまた朝食を口に運んだ。