桜色の涙


「私、飲み物買ってきますね」


絶叫マシンに乗り終えて少し疲れていた俺達はひとまず休憩。


すると、小谷さんは飲み物を買いに行くみたいでこの場から離れた。



次の瞬間。


「告白の返事、どうするのよー」


タイミングを見計らったようにいきなり耳元で囁かれた。



「わわっ、矢代さん?」


矢代さんは怪しい笑みを浮かべる。


なんだろう、その顔は。まるで全てを知っているような顔をしている。



「昨日の夜、千佳に告……」


「い、言わないでっ!」


まさか彼女も知っていたなんて。でも、それはそうだよね、と思い直す。


小谷さんと仲がいいし部屋も班も同じ。必然的に昨日のできごとは耳に入るだろう。


だから問題は彼女ではない。むしろ渚の方。
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