桜色の涙

「泣かないで」




《 星那side 》




「……これで良かったの」


もう私には何も残っていない。


いつもそばで支えてくれた君も、黙って泣かせてくれた君も、全て失った。私の手で突き放した。


これからどうやって生きていこう。暗闇から連れ出してくれたのは迅なのに。



「本当に後悔はないのかよ」


「うん。ごめんね、こんなこと頼んで」


私は最低なんだ。迅が見ている前で元カレである悠大と……キスしたんだから。


悠大のことが好きなわけじゃない。未練があるわけでもない。


それでも私には他に思いつかなかったの。迅が私から離れてくれる方法が。だから迅を目の前で傷つけた。



そのために悠大に協力してもらったの。


『私にキスして』って。
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