桜色の涙
かき氷の屋台に並んでいた私達。
買い終わってもうすぐ始まる花火を見ようと歩きだすと。
『悠大くんっ!』
後ろから聞き覚えのある声が聞こえて私も振り返った。そこには……女子ふたりに囲まれた迅の姿があった。
『……は?広瀬?』
『じ、ん……?』
私も悠大も視線は迅に釘づけになった。心の中はどんどんモヤモヤとした霧で覆われていく。
迅は女の子と一緒に来たの?私だけって言ってくれたのは嘘だったの?
振ったのは私なのに。これが最善の選択だと思っていたのに。いざ迅が他の女の子と一緒にいるところを見ると胸が苦しいよ。
『星那、行くぞ』
『え?で、でもっ』
泣きそうな私に気づいたのか、悠大は手を引っ張って人気のないところまで連れていってくれた。