桜色の涙
自分で言いかけた言葉の続きは忘れたことにしよう。
だって今更『でも私は迅といたい』なんて、そんなこと言えないから。
迅を困らせて傷つけるだけ。それなら私の気持ちごと消せばいい。
そんなことはずっと前に決断したはずでしょ?それなのにどうして今になってまた決心が揺らぐの?
私はもう好きではいられないのに。
『……星那、大丈夫か?』
『うん、巻き込んでごめんね』
元気がない私に気をつかってくれたのはわかっている。
去年、泣いている私の隣にいてくれたのは迅だった。
でも、今隣にいるのは迅じゃない。1年前に私を泣かせた張本人である悠大がいる。でも私の心は……間違いなく迅に向いている。
迅と私のこれからのためを思って別れた。これでいいって思っていたはずなのに、別れてから後悔ばかりして前なんて向けないよ。