桜色の涙
「辛いなら気持ちを伝えれば……」
「それはしないよ」
悠大が言いかけた言葉を遮ってキッパリと言い切る。
今までの私ならきっとこんな場面で人に流されていた。でも迅と付き合って少しは変われた気がするの。
悠大と別れてから、笑っていれば大丈夫だと思っていた。
他の人にも迷惑をかけずに毎日を送っていけると思っていたのに、迅だけは気づいてくれたんだ。
「迅のことが好きだから。大好きだから、幸せになってほしいんだ」
そして、私のために一生懸命になってくれた。ずっと隣にいてくれた。それだけで私は救われていたんだよ。
「……ごめん」
「え?」
悠大からそんな言葉が出てくるなんて思わなかった。もう向き合うことなんてないと思っていたのに。