桜色の涙
こんなに辛い思いをするなら、好きになんてならなければ良かった。こんなに苦しい思いをするなら、恋なんてしなければ良かった。
恋が素敵なんてそんなのひとときの魔法。本当はすごく切なくて苦しくて、ひとりじゃ乗り越えられないよ。
『小谷さんと付き合った方が、迅は幸せになれるよ』
そう言って背中を押したときも。本当は好きだったよ。離れたくなんかなかったよ。ずっとそばにいたかったよ。
でも迅にとっての幸せは私と一緒にいることじゃない。それくらいわかっている。
彼女は心から迅を好きでいてくれているんでしょ?
それなら私の分まで幸せになってよ。素直になってよ。
ずっとずっと、まっすぐな迅のままで。君を愛してくれるその人と……。