桜色の涙

でも、もう悠大に振られたお祭りの夜のようなことは繰り返したくない。


私の気持ちが変わるわけじゃないから、悠大の手を振り払って迅のことはひとりで忘れなきゃいけない。


その気持ちが浮かぶ度に苦しくなる。


忘れたくない。迅との日々に上書きなんてしたくない。そう思ってしまう自分もいる。



言葉にはできない許されない気持ち。


できることなら。


「伝え、たかった……っ」



────寂しくなるから泣かないでよ。


────最後くらい強がりでいさせてよ。



君の怒った顔も。泣いた顔も。笑った顔も。全部私の思い出のアルバムに焼きつけた。


生きていく意味も見つけた光も迅が教えてくれたのに、そんな君も私から遠ざかっていく。
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