桜色の涙

気がかりなこと




宿泊学習後、初めての登校。


席に着くまでに何人かの人に声をかけられた。それに返事をしながらも俺は窓の外の景色を眺める。


空は少し曇っている。今日はいつもより早い時間に来てしまったからあまり人はいない。


もちろん朝に弱い渚はいるわけがない。



「……広瀬くん」


後ろからいきなり声をかけられてドキリとする。休み明けだから久しぶりに見たけど、絶対にあの日のことは忘れない。


目の前には小谷さんが立っていた。



「おはよう、小谷さん」


俺は宿泊学習の2日目の夜、彼女に告白の返事をした。


星那と江崎くんのキスシーンを目撃した俺はかなり気が動転していた。気づけば彼女と付き合っていたんだ。
< 265 / 374 >

この作品をシェア

pagetop