桜色の涙
気がかりなこと
宿泊学習後、初めての登校。
席に着くまでに何人かの人に声をかけられた。それに返事をしながらも俺は窓の外の景色を眺める。
空は少し曇っている。今日はいつもより早い時間に来てしまったからあまり人はいない。
もちろん朝に弱い渚はいるわけがない。
「……広瀬くん」
後ろからいきなり声をかけられてドキリとする。休み明けだから久しぶりに見たけど、絶対にあの日のことは忘れない。
目の前には小谷さんが立っていた。
「おはよう、小谷さん」
俺は宿泊学習の2日目の夜、彼女に告白の返事をした。
星那と江崎くんのキスシーンを目撃した俺はかなり気が動転していた。気づけば彼女と付き合っていたんだ。