桜色の涙
でも、付き合おうと望んだのは俺。これが最善の答え。今でもこれで良かったと思っている。
まっすぐに伸びた黒髪。礼儀正しくておしとやかな振る舞い。他の人から見ても彼女は美人の部類に入るだろう。
「……やっぱり綺麗だな」
ポツリとこぼした言葉はどうやら耳に届いたみたいで、彼女の顔はボッと一気に赤くなった。
「そんなこと言わないでくださいっ……」
あぁ、なんだか可愛いな。恥ずかしそうに顔を隠す彼女を見てそう思った。
星那じゃないとダメだと俺は決めつけていた。星那以外の人なんて見ようともしていなかった。
でも、答えはもっと近くにあったのかな。彼女と付き合ってからそう思うようになってきた。