桜色の涙
「迅は今、楽しいか?」
昼休み。一緒に昼食を食べている渚にいきなり問いかけられた。
「もちろん。みんなのおかげで楽しいよ」
これは嘘じゃない。渚や小谷さん、矢代さんに出会えて本当に良かったと思っている。
4人でいる時間は楽しくて、いつまでも笑っていられる。
「……じゃあ幸せか?」
その質問に一瞬戸惑った。
彼はきっと俺の気持ちをわかっていながら聞いているんだ。
星那のことが好きなのにどうして小谷さんと付き合ったのか。それを聞き出そうとしている。
「幸せ、ではないかもしれない」
俺にとっての幸せは星那と一緒にいること。きっとそれは俺と星那の関係が変わっても変わらないだろう。