桜色の涙
それから、渚とは気まずい雰囲気のまま分かれた。渚は俺が傷つかないように止めてくれたのに拒絶してしまった。
それでも、何が起こっていたのか知りたかったのが本音。でも、知りたくないと思ったのも事実。この気持ちはなんだろう。
「はぁ……」
今日はため息ばかりの1日だな。悪いのはいつまでも俺なのに迷惑かけて情けない。
星那ちゃんに彼氏がいるとわかってから妙に落ち着かない。ソワソワしてドキドキして心臓が苦しくなる。
恋しているわけじゃないけど、理由もないのに気になってしまう。
再びため息をついて歩きだす。もちろん後ろに人影があることも知らずに。
「……お前さ、見ていたよな」
突然後ろから声が聞こえ、間抜けな声を出して振り返る。そこにはさっきも見たイケメンがいた。
「え、江崎くんっ!?」
「あ、知ってんのか」
眩しすぎて目のやり場に困る。いきなりの登場に戸惑う。どうして俺の前に彼がいるんだろう。