桜色の涙


それから、渚とは気まずい雰囲気のまま分かれた。渚は俺が傷つかないように止めてくれたのに拒絶してしまった。


それでも、何が起こっていたのか知りたかったのが本音。でも、知りたくないと思ったのも事実。この気持ちはなんだろう。



「はぁ……」


今日はため息ばかりの1日だな。悪いのはいつまでも俺なのに迷惑かけて情けない。


星那ちゃんに彼氏がいるとわかってから妙に落ち着かない。ソワソワしてドキドキして心臓が苦しくなる。


恋しているわけじゃないけど、理由もないのに気になってしまう。



再びため息をついて歩きだす。もちろん後ろに人影があることも知らずに。


「……お前さ、見ていたよな」


突然後ろから声が聞こえ、間抜けな声を出して振り返る。そこにはさっきも見たイケメンがいた。



「え、江崎くんっ!?」


「あ、知ってんのか」


眩しすぎて目のやり場に困る。いきなりの登場に戸惑う。どうして俺の前に彼がいるんだろう。
< 27 / 374 >

この作品をシェア

pagetop