桜色の涙


それからも小谷さんは慣れない話し方に苦戦しながら会話を繋いでくれた。


あっという間に目的地に着いた。



「わぁっ、綺麗……」


ここは植物園。この空間は温室で寒さに弱い植物も関係なく生えている。


前に1度『植物が好き』だと話したことがある。そのときは確か彼女も『花を見るのが好き』と答えてくれた。


その会話を覚えていたのだろう。提案された行き先は植物園だった。



あたたかいところに立つ高い木。ある決まった条件のところにしか生えない花。それらを彩る草。


全てのものが美しく浄化されているように見える。
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