桜色の涙

「それなら忠告してやるよ」


そして、俺に近づいてまた言葉を続ける。


「俺達は付き合っていない。でも俺は、星那のこと好きだから」


「え……?」


その言葉を聞いて何かが繋がったような気がした。



まずは付き合っていないことに驚いて、少し安心した。


付き合っていないのにお祭りを一緒に回ったり、キスをしたり。


それは彼の性格からして、好きじゃないとできない行為だろう。


それに、星那といるときのあの優しそうな表情を見れば誰だってわかる。


彼は星那のことが好きなんだと。



「今度は絶対に幸せにするって決めているから。お前には渡さねーよ」


でも、あのとき江崎くんが振ったんだよね?


そのせいで星那は俺の前で涙を見せたんだよ?立ち直れないくらい心に大きな傷を負ったんだよ?


それなのに今更どうして……。
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