桜色の涙
次の日の夜、お風呂あがりの私達の前に現れたのは、息を切らした広瀬くんだった。
『俺で良ければ付き合ってください』
その言葉を聞いたとき、飛び上がりそうになるくらい嬉しかった。
でも、彼の表情を見て一気に感情は変わった。
なんだか自分の気持ちを無理に押し殺しているように見えたの。
私が気持ちを伝えたせいで苦しませてしまった?篠原さんとの過去を思い出させてしまった?
彼が篠原さんのことを忘れられていないのはわかっていたから、きっと振られるだろう。そう思っていた。
でも、結果はなんとOKで。本当に嬉しかった。だから、彼にも笑ってほしかった。
片想いは辛い。でも、付き合っているのに相手の心が自分に向いていない方がずっとずっと辛い。
そのことを当時の私はまだ知らなかった。