桜色の涙



「今日、帰れるかな?」


「あ、うん……。大丈夫だよ」


本当は一緒に帰りたくないんじゃないの?私といるときも他の人のことを考えているんでしょ?


篠原さんのこと、まだ好きなんじゃないの?



────なんて、そんなこと言えない。


言ったらきっと私達の関係は終わってしまう。こんな醜い感情を打ち明けたら嫌われてしまう。


どんなに辛くても嫌われることだけは嫌だから、私はまたこの気持ちを封印するの。



◇◆◇




「はぁ……」


今日は1時間目から私の苦手な体育の授業。心が晴れず、こんな日に限って天気も雨。


だから、男子はバスケ、女子はバレーと室内でできる競技をしている。
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