桜色の涙
加速する好き
翌日、俺は朝から玄関である人を待っている。
「渚!」
「……うわ」
それは、昨日スッキリしないまま分かれてしまった渚。
家に帰ってからもずっと悩んでいた。渚に何も言えなかったこと。そして、江崎くんに言われた言葉。
『星那のことは渡さねーからな』
あの言葉を聞いて気づいてしまった自分の気持ち。俺は、星那ちゃんが好きなんだ。
だから彼氏がいると知ってため息ばかりついていた。全部好きだからこその言動だったんだ。
出会ったときからこの気持ちは動いていたのかもしれない。あの桜の木の下で出会ったときから、きっと……。