桜色の涙
だから。
「ねぇ、広瀬くん」
帰り道、私は広瀬くんの隣を歩く。その距離は一定のまま近づく気配はない。
手を繋いで歩いてくれたのも、私が誘ったデートの日だけ。それも私から言い出したことだった。
本当はもっと近づきたかったよ。君にとって1番近い女の子になりたかった。
でも、いつだって君の1番は─────。
「どうしたの?」
自分から誘ったのにごめんね。でも、今日じゃないと言えない気がしたの。
こんな結末は迎えたくない。ずっとそう思っていた。
でも、私のせいで大好きな人を苦しませるくらいなら、私はこの手から君を解放するよ。
「別れようよ」