桜色の涙
きっとこの先も江崎くんと星那ちゃんは幸せで、俺だけが叶わない恋をする。そんな未来が待っているんだと思っていた。
これは運命だったのかな。こんなに悲しい運命なら、ない方が良かったのかもしれない。でも俺は後悔していないから。
────全てが狂い始めたのはきっとあの日だった。
◇◆◇
月日は流れ、テストも近づく6月。
4月は友達をつくるのに必死だった。俺はそこそこ上手くいったけど、渚は人見知りのせいか話せる人は少ない。
5月は勉強漬けの毎日。中学校より難しくなる勉強。部活に入っていないといってもついていくのは大変だった。
そして今、6月の終わり。7月にはテストがあり、終わるとすぐに夏休み。明けるとまた忙しい毎日が待っている。
「ねぇ、お祭り行こうよ!」
俺と渚の前にいきなり飛び込んできたのは、橋本さんの声。
隣の星那ちゃんは苦笑いでこちらを見ている。渚も不思議そうな顔で橋本さんを見下ろしている。