桜色の涙

渚にも橋本さんにも、星那にクリスマスの予約をした次の日に全てを話した。


小谷さんと別れたこと。江崎くんと話したこと。そして、やっぱり星那が好きなこと。


話し終えると、ふたりは最初から知っていたように優しく頷いてくれた。


『よく頑張ったな』『やっと素直になったのね』って。




今日はいよいよ決行の日。いつまでもウジウジと過去を引きずっているわけにはいかない。


「俺、頑張るよ。星那はまだ江崎くんのことが好きなのかもしれないけど……」


「広瀬くん、自信もってよ」


俺が弱気なことを言いかけると、橋本さんはそれを止めるかのように言葉を重ねる。



「悠大くんのことは気にしなくていいの!広瀬くんは広瀬くんでしょ?」


星那は俺と出会うずっと前から江崎くんのことを想っていた。


だから、俺が思っているよりも彼への好きの気持ちは大きいのかもしれない。


でも、俺の方が星那を好きな自信がある。これだけは胸を張って言えるよ。
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