桜色の涙
「……そう、だよね。橋本さんと話していたら元気がでたよ」
「でしょー?あたし、人を元気づける天才だから」
そう言っておどける橋本さん。それを見て渚は吹き出し、俺と彼女は顔を見合わせて笑った。
なんだかんだで、1年生のときから彼女には何回も救われてきた。
江崎くんと資料室で話したときも、星那を好きだと打ち明けたときも、付き合ってからも、別れてからも。
クラスが離れたってずっと俺達の心配をして近くで応援してくれていた。
気が強くて少し頑固なところもあるけど、優しくて渚のことが大好きで、友達のためならなんだってできる……そんな人。
彼女がいなかったら、俺は今でも星那に近づけないままだったかもしれない。
ましてやデートに誘うなんて夢のまた夢だったに違いない。