桜色の涙

「え、えっと……」


「祭りってなんだよ」


戸惑う俺達を残して橋本さんはひとり誇らしく笑う。星那ちゃんは「ちょっと、美紀……」と相変わらず苦笑い。



「もちろん夏祭りのこと!4人で行かない?」


夏祭りとは、毎年7月14日に行われるお祭りのこと。去年は中学校の友達と行ったっけ。


4人ってことは星那ちゃんも一緒ってこと?江崎くんのことは良かったのかな。


「俺はいいけど……」


チラッと渚の様子を伺うと、どうやら無言で考えているようだった。



「園田くんは?どうかなっ」


弾けた笑顔で誘う橋本さんは恋する乙女そのもの。よく揺るがないな、って渚を尊敬してしまうほど。


「……別にいいけど」


たったそれだけの言葉。それでも嬉しかったのか橋本さんはガッツポーズしている。


相変わらず渚はクールでツンデレ。少しは彼女のことも気にしていると思うんだけど。
< 34 / 374 >

この作品をシェア

pagetop