桜色の涙
「え、えっと……」
「祭りってなんだよ」
戸惑う俺達を残して橋本さんはひとり誇らしく笑う。星那ちゃんは「ちょっと、美紀……」と相変わらず苦笑い。
「もちろん夏祭りのこと!4人で行かない?」
夏祭りとは、毎年7月14日に行われるお祭りのこと。去年は中学校の友達と行ったっけ。
4人ってことは星那ちゃんも一緒ってこと?江崎くんのことは良かったのかな。
「俺はいいけど……」
チラッと渚の様子を伺うと、どうやら無言で考えているようだった。
「園田くんは?どうかなっ」
弾けた笑顔で誘う橋本さんは恋する乙女そのもの。よく揺るがないな、って渚を尊敬してしまうほど。
「……別にいいけど」
たったそれだけの言葉。それでも嬉しかったのか橋本さんはガッツポーズしている。
相変わらず渚はクールでツンデレ。少しは彼女のことも気にしていると思うんだけど。