桜色の涙

だから。


「橋本さん、ありがとう」


星那の親友が橋本さんで本当に良かった。出会ったのが橋本さんで本当に良かった。心からそう思うよ。




「……おい」


わかっているよ、渚。俺が今日まで笑って過ごせたのは渚のおかげ。


高校でできた初めての友達。無愛想でクールだけど、いつだって俺のことを考えてくれていて誰よりも頼りになる。



「俺、渚のこと……大好きだよ」


ありがとう、ごめんね、そんな言葉だけじゃ言い表せない。それくらい渚には心配も迷惑もかけてしまっている。



「……そこは、ありがとうじゃないのかよ」


そう突っ込む声が聞こえてきたけど、そんな次元じゃない。


渚がいたから俺は今こんなに晴れやかに笑えるんだ。


────朝の時間は3人で笑っているだけで幸せを感じた。
< 340 / 374 >

この作品をシェア

pagetop