桜色の涙
だから。
「橋本さん、ありがとう」
星那の親友が橋本さんで本当に良かった。出会ったのが橋本さんで本当に良かった。心からそう思うよ。
「……おい」
わかっているよ、渚。俺が今日まで笑って過ごせたのは渚のおかげ。
高校でできた初めての友達。無愛想でクールだけど、いつだって俺のことを考えてくれていて誰よりも頼りになる。
「俺、渚のこと……大好きだよ」
ありがとう、ごめんね、そんな言葉だけじゃ言い表せない。それくらい渚には心配も迷惑もかけてしまっている。
「……そこは、ありがとうじゃないのかよ」
そう突っ込む声が聞こえてきたけど、そんな次元じゃない。
渚がいたから俺は今こんなに晴れやかに笑えるんだ。
────朝の時間は3人で笑っているだけで幸せを感じた。