桜色の涙


昼休み。俺は渚と小谷さんと矢代さんの4人でお昼ご飯を食べている。



小谷さんと俺が別れた次の日、矢代さんは彼女から話を聞いたらしく登校するとまず頬を叩かれた。



『最っ低……!』


『千佳を振るなんて後悔しても知らないから!』


そう言った矢代さんの顔を俺はきっと忘れないだろう。それくらい印象的で、友達思いだと改めて感じた。




それから数日は小谷さんとも矢代さんとも別行動。いつも一緒にいた4人は俺のせいで分離してしまった。


でも、やっぱりこのままの関係なんて嫌だ。そう思った俺は思い切った行動に出た。



『俺が悪いってわかっているし、許してもらえるなんて思っていない。でもふたりは大切な友達なんだ』


『俺からも、ごめん』


渚も俺と一緒に頭を下げてくれて、小谷さんも矢代さんも困惑した表情を浮かべる。


振ったのに一緒にいたいなんて、矛盾していることを言っている自覚はある。


小谷さんにとって辛い選択を迫っていることもわかっている。
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