桜色の涙

「広瀬には一生わかってほしくなかったんだけどな……」


わからないはずない。俺だって同じような思いをたくさんしてきたから。


好きで好きでたまらないのに届かない気持ち。星那のことをただ想っていただけなのに交わらない心。


どうすれば良かったかなんて、答えはわからない。でも、この気持ちが “ 愛 ” だってことだけは確かにわかるよ。



「なぁ……広瀬、笑え」


「え?」


俺の目を見て、今までにないくらいの笑顔でそう言った江崎くん。


こんなに輝いた人の表情を俺は見たことがない。それくらい彼は心から笑っているように見えた。



「広瀬と星那はずっと笑っていろ」


その言葉は、彼が俺のことを認めてくれたって思ってもいいのかな?


不器用な言葉だけど、俺と星那のことを応援してくれているのかな。
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