桜色の涙

「……じゃ、俺は行くから」


「うん。また、話そうね」


俺がそう言うと彼は驚いたように俺の顔をまじまじと見つめる。


「……敵わねーな」


何かを諦めたようにフッと笑って、小さく呟いてから俺の前から去っていった。



江崎くんはすごいよ。いつだって他の人に流されない自分の芯をもっている。


プライドが高すぎるのがたまに傷だけど、そんなところも彼らしい。


上から目線で俺を挑発してきたこともあったけど、きっとそれも彼なりの “ 恋の形 ” なんだ。



人によって幸せの理想は違うし、誰もが今の生活に満足しているとは限らない。


それでも俺達は進んでいかなければならない。大人になるために前を向かなければならないんだ。



「……よし」


2年分の片想いの全てを込めて告白しよう。
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