桜色の涙


◇◆◇



────ピンポーン。



どうしよう、緊張する。


星那の家の前に立ったのは、進級して間もない頃に俺が待ち伏せしたときが最後。


それからは遠くから見ていることはあっても目の前に行ったりはしなかった。



そんなことをしたらまた星那への想いが溢れてしまいそうで。この本音を閉まっておくことができなくなりそうで。


怖かった。ずっと辛い記憶と向き合うことが怖かったんだ。



────ピンポーン。


もしかしたら出てきてくれないのかもしれない。



『……うん、わかったよ』


俺がクリスマスの日に迎えに行くと言ったとき、星那は確かにそう頷いた。


でも、やっぱり俺と過ごすのが嫌だったのかもしれない。


このまま出てきてくれなかったらどうしよう……。
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