桜色の涙

……って、また後ろ向きに考えてしまっていた。


みんなから応援とともに優しさと勇気と希望をもらって、もう後悔しないように気持ちを伝える。そう決めたはずなのに。


たったこれだけのことで決心が揺らいでしまいそうになる。



大丈夫。きっと星那は出てきてくれる。


そうしたら何をしようか。どこへ行こうか。


できることなら去年のように過ごしたい。思い出の場所を巡って、最後に気持ちを伝えるんだ。


その結果がどうであれ笑って進めるように。



「あっ……」


また自分の世界に入り込んで黙々と考えを膨らませていると、ふいに正面から声がした。


この声は……聞き間違えるはずがない。


だって、あんなにも望んでいた星那の声なんだから。
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