桜色の涙
「星那……っ!」
姿が見えた途端、今まで考えていたことなんて全て頭から抜け落ちて、気づけば俺は星那を抱きしめていた。
ずっと触れたかったぬくもり。星那は今、俺の腕の中にいるんだ。
「星那、好きだよ」
伝えたい言葉はたくさんあって。
どんな話をしようか、何度も考えてその場で選ぼうと思っていたのに、俺の口から出たのはこの言葉だった。
でも、この気持ちを表せる言葉なんて他にないと思うんだ。
言葉でなんて表せないほどに、俺は心から星那のことを想っている。
「迅……」
やっぱり変わっていないね。出会ったときからずっと星那のまま。どこか儚げで辛いことを隠すように切なく笑う。
繊細で優しくて自分をもっていて、そして何よりも─────俺にとって愛しい存在なんだ。