桜色の涙

「ずっと好きだった。他の人と付き合っても星那を忘れることなんてできなかったんだよ」


この気持ちだけは本物なんだ。星那にどう思われていたって俺の気持ちは変わらない。


初めて会ったときから星那のことがずっと……。



「どうして?迅は、小谷さんと……」


「小谷さんじゃない。星那が好きなんだ」


不思議だな。


ここへ向かう途中は「好き」と伝えるタイミングを探していたのに、いざ星那を前にすると考えずに言葉が出てくるなんて。



「……迅は優しいから自分の気持ちを抑えているだけだよ」


そう言って星那を抱きしめていた俺の体は押し返された。


違う。違うよ、星那。そんなはずがない。俺はこんなにも君が好きなんだ。


誰かのためなんかじゃない。自分のために今ここにいる。



「私のために戻ってきたりなんてしないでっ……」


星那は苦しそうに言葉を吐き出す。そんな表情を俺は今まで何度見てきたんだろう。


ずっと隠していたんだよね?弱さを見せたくなくて。心配をかけたくなくて。


自分の気持ちを抑えて、ひとりで佇んでいたのは星那だよね……?
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