桜色の涙

「星那はまた自分の気持ちにフタをして抱え込むの?それが星那にとっての幸せ?」


「そ、れは……」


そんなはずないよね。みんな、星那を受け止めてくれる人ばかりだよ。


素直になっていいこと、もう星那もわかっているんだよね?



「迅に諦めてほしくて悠大に頼んだの。『私にキスして』って。……最低だよね」


……ねぇ、それって。どういう意味か、と尋ねる前に彼女は言葉を続ける。



「他に方法なんてなかった……!そうでもしないと、迅は幸せにっ、なれない、から……っ」


好きになってごめんね。


笑ってありがとうって言ってよ。


寂しくなるから泣かないでよ。


最後に笑顔を見せてよ。
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