桜色の涙
桜色の笑顔
春。あたたかい太陽の光が差し込む朝、小鳥のさえずりで目が覚める。
少し着古した制服もあと1年着なければならない。でも俺はこの汚れたままの制服で十分だよ。
だってこの制服には、俺の高校2年間分の思い出が詰まっているから。
3年生に進級する今日からまた新しい思い出が増えていく。
辛い日々を乗り越えたからこそ見える眩しい世界がきっと広がっているはずだよね。
「お兄ちゃん、おはよっ」
いきなりドアが開いたかと思うと部屋に入ってきたのは杏。
「朝ご飯だって!ママはリビングにいるよー」
嬉しそうに笑顔で教えてくれた。
母さんに「おはよう」と言えること。毎日顔が見られること。当たり前かもしれない日常が、杏にとっての幸せなんだよね。