桜色の涙

「あっ、かき氷……」


ふと俺の手の中にあるかき氷を見て星那ちゃんが口を開いた。手渡すと「ありがとう」と言ってパクリと口に運んでいく。


でも俺は自分の気持ちを抑えるのに必死だった。


俺のせいで雰囲気を壊してしまったかな。気をつかわせてしまったなら悪いことをしたな。


そう思いながらも、頭の中はさっきの星那ちゃんの顔でいっぱいで。


そういえばどうして人混みの中になんていたんだろう。ベンチにいるかと思っていたのに。



「そういえばどうしてあんなところにいたの?」


思い切って疑問を打ち明けてみた。すると返ってきたのは予想外の答えだった。


「実は……知らない男の人達に声をかけられて、逃げようとしたんだ」


知らない男の人達……?まさかナンパじゃないよね?
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