桜色の涙
その証拠に、ほら。
「迅くん」
愛しいその声で俺の名前を呼んでかき氷を差し出している。
これはきっと食べていいよって意味なんだろう。
「ありがとう」
でも。でもね、星那ちゃん。それは江崎くん以外の男子にしない方がいいよ。
……だって、関節キスになってしまう。そんなこと気にしないのかな。
チクッと胸を刺す痛みに気づかないフリをしながらも、かき氷を口に運ぼうとした。
その瞬間。
「……っ」
星那ちゃんの瞳が大きく揺れた。
「星那、ちゃん……?」
その手に握られていたかき氷が静かに下へと落ちていく。でもそれに手を伸ばすことができなかった。
だって、その視線の先には─────女の子と手を繋ぐ江崎くんの姿があったから。