桜色の涙

「……ねぇ、嘘だよね?悠大」


彼女の震える声。それを聞いて、今この瞬間がどんな状況なのかやっと理解できた。


星那ちゃんを彼女だって言わなかったってことは……。



「……ごめんって。なんか、遊び心っていうか。もう3年目だし、正直飽きたんだよ」


飽きたって、それだけで浮気を?それならもっと話し合えば良かったのに。



「最低……。悠大なんて、大っ嫌い!」


────もう別れよう。


耳に届いたのは彼女の口から出たとは思えない言葉で、驚きすぎて口が塞がらない。


だって、そんな。ふたりが別れるなんて……。



「ん、そうするか」


そして江崎くんは淡々とした口調で受け入れる。


星那ちゃんの彼氏なんじゃないの?好きなんじゃないの?ねぇ、どうして傷つけるの……?
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