桜色の涙
駅では案の定ふたりが待ちくたびれたように立っていた。
『もうっ、遅いよ!待ったんだからね!』
腰に手を当てて怒る橋本さん。
でも、星那ちゃんがずっと黙っているのに気づいたのか。
『星那……?』
戸惑いながらそう声をかけた。
『え、嘘……。泣いているの?』
彼女は急に眉を下げて困り顔になる。
その視線は俺の方を向いていて、まるで俺が何かしたような不審な目を向けている。
『いや、俺じゃないよ。その……』
そこまで言いかけてハッと口をつぐむ。
星那ちゃんは困ったように頷いて『私が話すから』と静かに言い放った。