桜色の涙
出会いは桜の木の下で
君との出会いも桜が美しい場所だった。
快晴の空。咲き乱れる桜。今日は入学式。
余裕をもって家を出たから少しなら大丈夫かな。そう思って、駅から少し進んだ場所で足を止める。
「わ、綺麗……」
目の前に広がるのは桜の木。どれを見ても綺麗だな、と思いながらスマホを構える。
咲いたばかりなのにもう消えてしまいそうな桜を手で包み込んでみる。
「今年もよろしくね」
そう呟いて写真を撮ると。
「……桜、好きなの?」
後ろからそんな声が聞こえて慌てて振り返る。そこには同じ学校の制服を着た女子がいた。