桜色の涙

「どうしてそんなに躊躇いもなく言えるの?江崎くんも星那ちゃんのことが好きだったんでしょ?それなのに、どうして……」


「だから、言ったじゃん。飽きたって」


飽きた?星那ちゃんの想いはそんな言葉で片づけられてしまうの?


どうして?だって、確かに想い合っていたはずなのに。


俺には理解できない。付き合うってそんなに簡単なものなんだろうか。




「……何よ、それ。最っ低!」


いきなり背後から大声が聞こえた。かと思いきや、その声の主は橋本さんだった。


「悠大くんがそんな人だと思わなかった!星那の気持ちをそんなに軽く扱わないで……っ」


彼女はそう江崎くんに怒鳴りつける。


星那ちゃんだけじゃない、彼女だって信じていたんだ。江崎くんなら幸せにしてくれるって。



「もう、知らない!」


すごい勢いで言い放った彼女に「行くよ、広瀬くん」と急かされ、その場をあとにした。
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