桜色の涙

「……うん」


出会ったときからきっと始まっていたこの恋。こんなにも守りたいと、幸せになってほしいと思ったのは星那ちゃんだけだよ。


「そっか……」


彼女の言いたいことはわかる。報われない恋をしても傷つくだけ。そんなことは理解している。



でも、それでも。


「好きなんだ、星那ちゃんのこと。叶わないことくらいわかっているよ。それでも、どんな形でもそばにいたい」


この想いをなかったことにはしたくない。


こんなにも感情的になって誰かに話したのは初めてだけど、橋本さんなら信用できると思えた。



「その気持ち、伝わったよ。でも広瀬くんのことだから……」


「もちろん告白はしないよ」


言葉の続きがわかって静かにそう言った。


星那ちゃんを困らせたくはない。ただそばにいるだけで、見ているだけでいいんだ。


また星那ちゃんが幸せそうに笑ってくれるときまで、それでいい。
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