桜色の涙

「あたし、応援するよ!協力はできないけど、それでも広瀬くんなら星那を変えられる気がするから」


お世辞でも嬉しかった。彼女は星那ちゃんの親友。きっと気持ちも理解しているはず。


そんな人にそう言ってもらえたんだ。俺もめげずに頑張りたい。



「その代わり、園田くんとのデート第2弾の企画、手伝ってもらうからねっ!」


橋本さん……。


最初は、ただ明るくてマイペースなだけだと思っていた。でも、クラスでの様子や今の言葉でそれは違うんだって思う。


彼女は誰よりも友達のことを見て、その人に合った声をかけてくれる。そんな人だ。


絶対に渚だって好きになるよ。だから俺も彼女の恋を応援したいと心から思う。



「……ありがとう」


届いたかどうかはわからない。でも、弾けた顔でいつも通り笑ってみせる彼女がそこにいた。


この朝のできごと、みんなには黙っておこう。
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