桜色の涙


◇◆◇



「……もう、意味わかんないっ!」


夏祭りから数日経ち、夏も本番になってきた頃。うるさいセミの鳴き声とそれと同様に響くのは橋本さんの声。


俺達は今勉強している。もちろん俺と渚と星那ちゃんと橋本さんの4人で。



「美紀、みんな集中できなくなっちゃうよ?」


と、大声をあげた橋本さんに、星那ちゃんは優しく指摘する。


「もうすぐ夏休みだろ。それまで黙って勉強していろ」


そう冷たく言い放つ渚も、だいぶこの空気に慣れてきたように感じる。


そう、俺達は勉強しなければいけないんだ。だって明日はテストなんだから。



勉強はできるか、と聞かれれば、俺はきっと「できなくはない」と答えるはず。


できない方ではない。授業だって今はついていける。それでも星那ちゃんや渚には敵わない。
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