桜色の涙
「ずっと表情が硬かったから。元気づけられないかなってみんなで考えていたんだ」
……知らなかった。自分の表情が硬かったことも。みんなが計画を立ててくれていたことも。
胸の中になんとも言えない感情が広がっていく。なんだろう、すごくあたたかい。
「ありがとう、みんな」
優しい星那ちゃん。ムードメーカーの橋本さん。毒舌だけど根はいい渚。
みんな、俺の大切な人達だよ。だから、次は俺がみんなを笑わせる番だ。
切なげに笑うようになった星那ちゃんを笑顔にしたい。みんなが俺にしてくれたみたいにこの場を和ませたい。
それはただの表面上の理由で、本当は君の気持ちを知りたいんだ。
その場で見ていたから痛いほどわかる。星那ちゃんの江崎くんを想う気持ちとか、恋の苦しみとかは。