桜色の涙
それから彼女は友達に呼ばれて立ち去っていった。
でも、こんなにも鮮明に覚えているのはどうしてだろう。たった1回話しただけなのに気になって仕方がない。
また話せるかな。きっと会えるよね。だって同じ学年なんだから。
学校へ向かう間も頭の中は彼女のことでいっぱいだった。
恋ってなんだろう。恋愛経験がないわけじゃないけど、俺の恋はどれも続かない。
周りの人の恋愛話を聞くと、楽しいことだけじゃないんだとわかる。
誰かを好きになるかはわからないけど、いつかそんな日がくるといいな。
考えごとをしているとすぐに名簿が貼られている場所に着いた。前が見えないほどの人混みができている。
この学年は6クラスあるらしい。やっとのことで名簿を覗くと俺は1組だった。
よりによって1番遠いところか、と下を見て歩いていた。