桜色の涙

江崎くん達はそのまま近くにある家の中へ入っていった。あれが彼の家かな。


星那ちゃんと橋本さんの家は近いって聞いているから、星那ちゃんと彼の家も当然近いんだよね。



「ご、ごめん。そういうつもりじゃ……」


「うん、大丈夫。わかっているから」


一瞬で不穏な空気が流れだす。こんなときなんて言えばいいんだろう。



「ト、トランプしようよ!」


この空気に耐えかねたのか、星那ちゃんは似合わないくらいの明るい声で必死に話題を振る。


彼女のことだからきっと自分のせいで気まずくなったと思っているんだろう。


そんなことないのに。もっと頼っていいのに。だって……友達、なんだから。
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