桜色の涙
「それならいつまでも辛いだけでしょ?だから……」
「できるならしてるよ……っ。でも、悠大のことが頭から離れないの……!他の人なんて無理だよ……っ!」
────ズキ、ズキ、ズキ。
好きな人の近くにいるのに、こんなにも苦しいよ。心臓が音を立てて崩れていくような感覚に陥る。
『他の人なんて無理だよ……っ!』
めったに声を荒げない彼女が感情的になるほど、江崎くんのことが好きってことだよね。
もうダメじゃん。わかっていたけど。勝ち目なんてないって知っていたけど。
告白もしていないのに目の前で振られるとさすがに心が折れるよ……。
「……俺、は。星那ちゃんが幸せなら、それが1番の選択だと思うよ」
声が震えていたこと気づかれなかったかな。またふたりは驚いているようで心配そうな目で見てくる。
そんなに心配しなくても俺は大丈夫だよ。
こうなることはわかっていたんだから。