桜色の涙
『ど、どうしたの!?』
《たす、けて……っ》
え……?一体何があったの?彼女の身に何が起こっているの?
『星那ちゃん、今どこにいる?』
《家……》
返ってきた声は小さくて弱々しくて、このまま消えてしまうんじゃないか、と思うほどだった。
『今行くから待っていて!』
そう言い切ると同時に、ツー、ツー、と電子音が聞こえてきた。
正確な家の場所は知らない。でも橋本さんの家の近くだろう。
よし、急ごう。はやる胸を抑えながら全力で走った。他のことなんて考えている余裕はなかった。