桜色の涙
「きゃっ!」
そのまま教室に入ろうとすると、ドアの前で女子にぶつかった。
「あ、ごめ……」
「ごめんなさいっ!」
顔を上げた先には可愛い子がいて、視線が合った瞬間。
「「あ……」」
俺達の声が重なった。
この子はさっきの。
「桜の女の子……」
まじまじと見つめながら思わず呟くと。
「それ、私のこと?」
彼女は笑って俺の顔を覗き込む。
「う、うん。名前知らな……」
「星那」
名前知らなかったから、と言いかけると彼女はそう名乗る。